コラム
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2021.01.14
健康 病気 外来診療
たかが「いびき」と思っていませんか?もしかして睡眠時無呼吸症候群かも
睡眠時無呼吸症候群について、「寝ているときに大きないびきをかいて、一瞬呼吸が止まる病気」と理解している人が多いのではないでしょうか。しかし、具体的にどんな弊害があるかについては、あまり知られていないようです。そこで今回は睡眠時無呼吸症候群について簡単にお伝えしたいと思います。
睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まる、または弱くなることにより睡眠の質が低下し日常生活に支障をおこす病気です。
- 無呼吸症候群の定義:
- 10秒以上続く無呼吸が一晩(7時間以上の睡眠中)に30回以上、もしくは睡眠1時間に平均5回以上起きること
呼吸が止まると脳を含めた各臓器は酸欠状態となります。そして呼吸が再開すると、その度に眠りは浅くなり、睡眠リズムが崩れてしまいます。すると起床時の頭痛や、日中の眠気・疲労感など倦怠感が生じるため、集中力が低下し事故や作業ミスにつながります。働き世代にとっては非常にやっかいな病気と言えるでしょう。
また、睡眠時に酸欠状態が続くと、血管や心臓に大きな負担がかかってしまいます。症状が進むと、高血圧や不整脈、動脈硬化も引き起こす可能性があります。単純に寝ている時に呼吸が一瞬止まるだけで済まされません。
睡眠時無呼吸症候群の大きな要因として「気道(呼吸の通り道)が閉塞してしまうこと」が挙げられます。気道の閉塞は特に「いびき」と大きく関わりがあります。睡眠によって緊張が解けると舌の付け根(舌根)が垂れ下がり、気道(呼吸の通り道)が狭まります。 この狭くなった気道を呼吸が通る時に起こる振動が「いびき」なのです。
いびきをかきやすい人は太っているだけではありません
太っている人の場合、舌や喉にも脂肪がつくため、気道が狭くなりいびきをかきやすく、無呼吸症候群になりやすいといわれていますが、実は太っている人以外にもなりやすい人はいます。
小さいあご:
日本人は下あごが小さく後退しているために舌根が落ち込みやすくなります。そのため太っていなくても、いびきをかきやすいといわれています。
太い(短い)首の人:
首が短く太い人も、気道のまわりに脂肪がつきやすく、いびきをかく傾向があります。
閉経後の女性:
女性ホルモンの減少や加齢による筋肉の弱まりなどが関係して、いびきをかきやすくなるといわれています。
花粉症や鼻づまり・鼻炎など:
鼻がつまると必然的に口呼吸が発生するため、いびきをかきやすくなります。
アルコール:
アルコールの作用によって筋肉がゆるみ、舌根が落ちやすくなるため気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。毎日アルコールを飲んでから眠るという人は要注意です。
無呼吸症候群はいびき以外には自覚症状が出にくい病気です。昼間の眠気を自覚される方もいますが、眠いだけでは無呼吸症候群と結びつけるのは難しいため、まずはいびきをバロメーターにするとわかりやすいでしょう。パートナーにいびきがあるか聞いてみても良いと思いますし、最近はスマートフォンの睡眠アプリでいびきを録音したり、睡眠リズムをグラフ化してくれるものもありますので、利用されてみてはいかがでしょうか。
また、睡眠時のいびき、日中の疲れや眠気、起床時の頭痛など気になり始めた方や、健診などで血圧や血糖値を指摘されたことがある方は睡眠時無呼吸症候群の合併がないか、一度検査を受けてみることをおすすめします。
当クリニックでは生活習慣病やメタボリックシンドロームの管理も含めて、睡眠時無呼吸症候群の治療を行っています。気になる症状をお持ちの方はお気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
反頭 裕一郎 (たんどう ゆういちろう)医師
山中湖クリニック 副院長
[経歴]
2001年山梨医科大学医学部卒業
トラストクリニック等々力 元副院長
社団医療法人トラストクリニック 元非常勤医師
大月市立中央病院 元副理事長・元副院長
日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック 元副院長
睡眠時無呼吸症候群について、「寝ているときに大きないびきをかいて、一瞬呼吸が止まる病気」と理解している人が多いのではないでしょうか。しかし、具体的にどんな弊害があるかについては、あまり知られていないようです。そこで今回は睡眠時無呼吸症候群について簡単にお伝えしたいと思います。
睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まる、または弱くなることにより睡眠の質が低下し日常生活に支障をおこす病気です。
- 無呼吸症候群の定義:
- 10秒以上続く無呼吸が一晩(7時間以上の睡眠中)に30回以上、もしくは睡眠1時間に平均5回以上起きること
呼吸が止まると脳を含めた各臓器は酸欠状態となります。そして呼吸が再開すると、その度に眠りは浅くなり、睡眠リズムが崩れてしまいます。すると起床時の頭痛や、日中の眠気・疲労感など倦怠感が生じるため、集中力が低下し事故や作業ミスにつながります。働き世代にとっては非常にやっかいな病気と言えるでしょう。
また、睡眠時に酸欠状態が続くと、血管や心臓に大きな負担がかかってしまいます。症状が進むと、高血圧や不整脈、動脈硬化も引き起こす可能性があります。単純に寝ている時に呼吸が一瞬止まるだけで済まされません。
睡眠時無呼吸症候群の大きな要因として「気道(呼吸の通り道)が閉塞してしまうこと」が挙げられます。気道の閉塞は特に「いびき」と大きく関わりがあります。睡眠によって緊張が解けると舌の付け根(舌根)が垂れ下がり、気道(呼吸の通り道)が狭まります。 この狭くなった気道を呼吸が通る時に起こる振動が「いびき」なのです。
いびきをかきやすい人は太っているだけではありません
太っている人の場合、舌や喉にも脂肪がつくため、気道が狭くなりいびきをかきやすく、無呼吸症候群になりやすいといわれていますが、実は太っている人以外にもなりやすい人はいます。
小さいあご:
日本人は下あごが小さく後退しているために舌根が落ち込みやすくなります。そのため太っていなくても、いびきをかきやすいといわれています。
太い(短い)首の人:
首が短く太い人も、気道のまわりに脂肪がつきやすく、いびきをかく傾向があります。
閉経後の女性:
女性ホルモンの減少や加齢による筋肉の弱まりなどが関係して、いびきをかきやすくなるといわれています。
花粉症や鼻づまり・鼻炎など:
鼻がつまると必然的に口呼吸が発生するため、いびきをかきやすくなります。
アルコール:
アルコールの作用によって筋肉がゆるみ、舌根が落ちやすくなるため気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。毎日アルコールを飲んでから眠るという人は要注意です。
無呼吸症候群はいびき以外には自覚症状が出にくい病気です。昼間の眠気を自覚される方もいますが、眠いだけでは無呼吸症候群と結びつけるのは難しいため、まずはいびきをバロメーターにするとわかりやすいでしょう。パートナーにいびきがあるか聞いてみても良いと思いますし、最近はスマートフォンの睡眠アプリでいびきを録音したり、睡眠リズムをグラフ化してくれるものもありますので、利用されてみてはいかがでしょうか。
また、睡眠時のいびき、日中の疲れや眠気、起床時の頭痛など気になり始めた方や、健診などで血圧や血糖値を指摘されたことがある方は睡眠時無呼吸症候群の合併がないか、一度検査を受けてみることをおすすめします。
当クリニックでは生活習慣病やメタボリックシンドロームの管理も含めて、睡眠時無呼吸症候群の治療を行っています。気になる症状をお持ちの方はお気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
反頭 裕一郎 (たんどう ゆういちろう)医師
山中湖クリニック 副院長
[経歴]
2001年山梨医科大学医学部卒業
トラストクリニック等々力 元副院長
社団医療法人トラストクリニック 元非常勤医師
大月市立中央病院 元副理事長・元副院長
日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック 元副院長
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