コラム
-
2021.04.08
健康 病気 外来診療
「高血圧」も新型コロナウイルス感染症の重症化リスクに?
新型コロナウイルス感染症が重症化するリスクがある基礎疾患*1の中で、高血圧は日本人のおよそ3人に1人*2が当てはまるといわれています。
高血圧と聞くと多くの人は体に悪い影響があることだと理解しているものの、なぜ高血圧が悪いのか、具体的にどんな弊害があるのかを知らない方が多いかもしれません。今回は、高血圧が引き起こす疾病、高血圧の原因や予防についてお伝えします。
そもそも高血圧って?
高血圧は、その名のとおり血圧の高い状態が続く病気です。私達の血圧は、運動した時や驚いた時に上昇します。こうした一時的な上昇は、高血圧ではありません。安静の状態で血圧が慢性的に正常値よりも高い状態を高血圧といいます。
血圧とは、血液が動脈を流れる際に血管の内側にかかる圧力のこと。血圧の"上"や"下"という言い方をよく耳にするかと思いますが、上は心臓が収縮して血液を送り出したときの「収縮期血圧(最高血圧)」のことで、下は心臓が拡張したときの「拡張期血圧(最低血圧)」のことを指します。日本高血圧学会の高血圧診断基準*3では、診察室での収縮期血圧(最高血圧)が140㎜Hg以上、拡張期血圧(最低血圧)が90㎜Hg以上のとき、高血圧と診断されます。
自宅で測定する場合は診察室よりも5mmHg低い基準が用いられますので、135mmHg/85mmHgと覚えておくとよいでしょう。
診察室血圧(mmHg)
家庭血圧(mmHg)
収縮期血圧
拡張期血圧
収縮期血圧
拡張期血圧
正常血圧
120未満
80未満
115未満
75未満
正常高値血圧
120~129
80未満
115~124
75未満
高値血圧
130~139
80~89
125~134
75~84
高血圧
140以上
90以上
135以上
85以上
(高血圧治療ガイドライン2019より抜粋)
血圧は健診の項目にも必ず入っているので、皆さんも一度は測ったことがあると思います。今一度、数値を見直してみてください。基準値よりも低かったから大丈夫と安心してはいけません。正常高値血圧、高値血圧の人は、将来高血圧になるリスクや、動脈硬化のリスクが高いといわれていますので、この段階で改善が必要です。
高血圧になると何が心配?
高血圧は血圧が高くても、特徴のある症状は現れないため、「サイレントキラー」とも呼ばれています。症状が現れないのにもかかわらず、体の中では知らず知らずのうちに、高血圧の悪影響が広がっていきます。血圧が高い=血管の壁に強い圧力がかかっているということ。その状態が長期間続くと常に血管に負担がかかってしまうため、少しずつ血管の内壁が傷つき、血管に炎症が起こり、傷によって血管内が固くなって柔軟性を失った状態(動脈硬化)となります。その結果、狭心症や心筋梗塞(冠動脈が詰まる病気)、脳梗塞(脳の血管が詰まる病気)、脳出血(脳の血管が破れる病気)になるリスクが高まります。
高血圧になる原因を知って、できることから対策を
遺伝的に高血圧になりやすい人もいますが、原因の多くは「肥満」「運動不足」「喫煙」「飲酒」「不規則な食生活」などの悪い生活習慣です。高血圧を防ぐには、まず日頃の生活習慣の見直しが大切です。
中でも高血圧は、食生活の影響を大きく受けるといわれています。以下の2点に思い当たる方も多いのではないでしょうか。
①塩分の摂りすぎ
血圧をあげる原因は食塩の主成分ナトリウムです。塩分を摂りすぎると、血中のナトリウム量が増えます。血液中の浸透圧を一定にしてバランスを保つため、腎臓での血管内への水の吸収が増加し、血液量が増えます。血管内の液体量が増えれば圧が高まり、結果として高血圧につながります。濃い味が好きな人は要注意です。
②カリウム・カルシウム不足(野菜・魚・乳製品不足)
カリウムには、血液中に含まれるナトリウムの尿への排泄を促してくれる作用があります。野菜や果物などに多く含まれるため、食べる機会が少ない人は、高血圧になりやすい傾向があります。また、カルシウム不足も高血圧との関連が指摘されています。
食生活は、日頃の習慣ですので悪くなってから急に対策するとなると、とても大変です。おすすめは日頃からできることを習慣にすること。例えば、ラーメンの汁は飲み干さない、醤油の代わりに「だし」を使う、コンビニのお弁当を食べる時には野菜やヨーグルトを必ず一品加える・・・など、減塩を意識しながら「野菜や果物・乳製品をバランスよく摂取して塩分の排出を促す」などの対策を行いましょう。
いかがでしたか。高血圧は、自覚症状がないため軽視しがちですが、お伝えしたように、大きな病気を起こす原因になります。高血圧に思い当たる方、健診で血圧が高めと指摘を受けている方は、早めに当クリニックへご相談ください。
●外来診療はこちら>
●人間ドックはこちら>
●健康診断はこちら>
- *1:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 COCVD-19 診療の手引き 第4版」より
https://www.kyoto.med.or.jp/covid19/pdf/14.pdf
- *2:高血圧治療ガイドライン2019(2019年4月発行)
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf
- *3:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイ「e-ヘルスネット」より
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html
新型コロナウイルス抗体検査のご案内
当クリニックでは、新型コロナウイルス感染症に対する「抗体」を持っているかどうかを調べることができる検査をご提供しています。
監修者プロフィール
半下石 美佐子(はんがいし みさこ)
日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック 内科・循環器内科医師
筑波大学医学専門学群卒
日本内科学会認定医
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会専門医
日本東洋医学会漢方専門医
日本医師会認定産業医
新型コロナウイルス感染症が重症化するリスクがある基礎疾患*1の中で、高血圧は日本人のおよそ3人に1人*2が当てはまるといわれています。
高血圧と聞くと多くの人は体に悪い影響があることだと理解しているものの、なぜ高血圧が悪いのか、具体的にどんな弊害があるのかを知らない方が多いかもしれません。今回は、高血圧が引き起こす疾病、高血圧の原因や予防についてお伝えします。
そもそも高血圧って?
高血圧は、その名のとおり血圧の高い状態が続く病気です。私達の血圧は、運動した時や驚いた時に上昇します。こうした一時的な上昇は、高血圧ではありません。安静の状態で血圧が慢性的に正常値よりも高い状態を高血圧といいます。
血圧とは、血液が動脈を流れる際に血管の内側にかかる圧力のこと。血圧の"上"や"下"という言い方をよく耳にするかと思いますが、上は心臓が収縮して血液を送り出したときの「収縮期血圧(最高血圧)」のことで、下は心臓が拡張したときの「拡張期血圧(最低血圧)」のことを指します。日本高血圧学会の高血圧診断基準*3では、診察室での収縮期血圧(最高血圧)が140㎜Hg以上、拡張期血圧(最低血圧)が90㎜Hg以上のとき、高血圧と診断されます。
自宅で測定する場合は診察室よりも5mmHg低い基準が用いられますので、135mmHg/85mmHgと覚えておくとよいでしょう。
診察室血圧(mmHg) | 家庭血圧(mmHg) | |||
---|---|---|---|---|
収縮期血圧 | 拡張期血圧 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | |
正常血圧 | 120未満 | 80未満 | 115未満 | 75未満 |
正常高値血圧 | 120~129 | 80未満 | 115~124 | 75未満 |
高値血圧 | 130~139 | 80~89 | 125~134 | 75~84 |
高血圧 | 140以上 | 90以上 | 135以上 | 85以上 |
(高血圧治療ガイドライン2019より抜粋)
血圧は健診の項目にも必ず入っているので、皆さんも一度は測ったことがあると思います。今一度、数値を見直してみてください。基準値よりも低かったから大丈夫と安心してはいけません。正常高値血圧、高値血圧の人は、将来高血圧になるリスクや、動脈硬化のリスクが高いといわれていますので、この段階で改善が必要です。
高血圧になると何が心配?
高血圧は血圧が高くても、特徴のある症状は現れないため、「サイレントキラー」とも呼ばれています。症状が現れないのにもかかわらず、体の中では知らず知らずのうちに、高血圧の悪影響が広がっていきます。血圧が高い=血管の壁に強い圧力がかかっているということ。その状態が長期間続くと常に血管に負担がかかってしまうため、少しずつ血管の内壁が傷つき、血管に炎症が起こり、傷によって血管内が固くなって柔軟性を失った状態(動脈硬化)となります。その結果、狭心症や心筋梗塞(冠動脈が詰まる病気)、脳梗塞(脳の血管が詰まる病気)、脳出血(脳の血管が破れる病気)になるリスクが高まります。
高血圧になる原因を知って、できることから対策を
遺伝的に高血圧になりやすい人もいますが、原因の多くは「肥満」「運動不足」「喫煙」「飲酒」「不規則な食生活」などの悪い生活習慣です。高血圧を防ぐには、まず日頃の生活習慣の見直しが大切です。
中でも高血圧は、食生活の影響を大きく受けるといわれています。以下の2点に思い当たる方も多いのではないでしょうか。
①塩分の摂りすぎ
血圧をあげる原因は食塩の主成分ナトリウムです。塩分を摂りすぎると、血中のナトリウム量が増えます。血液中の浸透圧を一定にしてバランスを保つため、腎臓での血管内への水の吸収が増加し、血液量が増えます。血管内の液体量が増えれば圧が高まり、結果として高血圧につながります。濃い味が好きな人は要注意です。
②カリウム・カルシウム不足(野菜・魚・乳製品不足)
カリウムには、血液中に含まれるナトリウムの尿への排泄を促してくれる作用があります。野菜や果物などに多く含まれるため、食べる機会が少ない人は、高血圧になりやすい傾向があります。また、カルシウム不足も高血圧との関連が指摘されています。
食生活は、日頃の習慣ですので悪くなってから急に対策するとなると、とても大変です。おすすめは日頃からできることを習慣にすること。例えば、ラーメンの汁は飲み干さない、醤油の代わりに「だし」を使う、コンビニのお弁当を食べる時には野菜やヨーグルトを必ず一品加える・・・など、減塩を意識しながら「野菜や果物・乳製品をバランスよく摂取して塩分の排出を促す」などの対策を行いましょう。
いかがでしたか。高血圧は、自覚症状がないため軽視しがちですが、お伝えしたように、大きな病気を起こす原因になります。高血圧に思い当たる方、健診で血圧が高めと指摘を受けている方は、早めに当クリニックへご相談ください。
●外来診療はこちら>
●人間ドックはこちら>
●健康診断はこちら>
- *1:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 COCVD-19 診療の手引き 第4版」より
https://www.kyoto.med.or.jp/covid19/pdf/14.pdf - *2:高血圧治療ガイドライン2019(2019年4月発行)
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf - *3:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイ「e-ヘルスネット」より
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html
新型コロナウイルス抗体検査のご案内
監修者プロフィール
半下石 美佐子(はんがいし みさこ)
日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック 内科・循環器内科医師
筑波大学医学専門学群卒
日本内科学会認定医
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会専門医
日本東洋医学会漢方専門医
日本医師会認定産業医
当ページに掲載されている情報は、開示日及び発表日当時の情報です。
現在行われているサービスや最新情報とは異なる場合がございますので、予めご了承ください。