コラム
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2020.04.30
健康
〜今できること、私の健康法〜 楽しみながらできる適度な運動で、生活習慣病の改善と免疫力の向上を
『日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック』院長の畑 啓介(はた けいすけ)です。緊急事態宣言が発令され、家にこもる時間が長くなるとストレスが増えて、精神的な影響が大きくなることが懸念されています。テレビではDVの率も増えているという報道もされています。そこで、私のストレス解消法として最近行っている適度な運動に関してお話しします。
我が家の自宅待機中の家族との運動・リフレッシュ法の一つは「卓球」です。卓球といっても家に卓球台があるわけではないので、食卓を利用したまさにテーブルテニスです。ネットはストレッチポールなどの家にあるものを使って、工夫しています。ティッシュの箱などを障害物的に並べてネットにしても面白いです。
熱中すると足音が響いてマンションの下の住民に迷惑がかかるので、椅子に座ったまま卓球をしています。30分もすると、比較的よい運動になりますし、日頃スマートフォンやPC、テレビなど画面と向き合う時間がどうしても長くなる中、卓球の球を追いかけることで目のリラックスにも有効です。
ただし、激しすぎる運動は、かえって免疫力を落とすというデータもあるようです(もっとも今は激しすぎる運動をするのは難しいですが…)。口や鼻などからウィルスが侵入するのを防ぐとされている口腔内のIgAという種類の抗体を測定したところ、激しい運動を続けている1週間ほどでこのIgAが低下するという調査もNHKで紹介されています。
また激しい運動の後にはウィルスやがんに対する免疫を担うNK細胞の数も一時的に減少し、実際に上気道感染が増えるというデータもあるようです。過ぎたるは及ばざるがごとし。なにごとも適度がよいということだと思います。適度な運動は生活習慣病の改善に有効であることは周知の事実ですが、前述のNK細胞やIgAのほかリンパ球などの免疫系の細胞にも改善が見られることが知られています。
また、適度な運動は感染症だけでなく、大腸がんのリスクを確実に減らすことも示されています。これは世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)からの報告が先行しましたが、日本人でも当てはまることが2012年に国立がん研究センターから報告されています。
適度な運動といえば散歩です。最近、私はスマートウォッチを購入しました。最初の購入目的はスマートフォンに届いたメッセージや電話に気づきやすいようにということだったのですが、購入したスマートウォッチには睡眠や運動をモニターする機能がついていました。
運動に関しては、心拍数や歩数をモニターすることで数種類の運動をモニターできるのですが、もっぱら使用しているのは万歩計としての機能です。(睡眠モニターも購入1週間ほど使用しましたが、比較的良好な睡眠がとれていることがわかったので最近は使用していません。)近くのバス停までは歩いて2・3分ですが、 “最寄り”駅は片道15分ほどかかります。この駅まで歩いて通勤すると、1日の歩数は10,000歩前後になります。
このスマートウォッチは1日の歩数が5,000歩、10,000歩、15,000歩となると通知が来て、画面上で褒めてくれます。なによりも数値として成果が見えてフィードバックがかかるのがよい点ですね。Social distanceを保ちながら散歩ができる環境の方は、スマートウォッチを使った散歩も適度な運動・免疫力アップ・ストレス解消にはよいかもしれません。
執筆者
プロフィール
畑 啓介 (はた けいすけ)
日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック院長
東京大学医学部 非常勤講師
【経歴】
1996年 東京大学医学部卒業
2005年 東京大学医学部博士課程修了
内閣府宮内庁 侍従職元侍医
東京大学医学部附属病院腫瘍外科・がんプロフェッショナル養成プラン元特任講師
【認定資格】
日本外科学会 外科専門医
日本大腸肛門病学会 大腸肛門病専門医・指導医
日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医・関東支部評議員
日本消化管学会 胃腸科専門医
日本人間ドック学会 認定医
『日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック』院長の畑 啓介(はた けいすけ)です。緊急事態宣言が発令され、家にこもる時間が長くなるとストレスが増えて、精神的な影響が大きくなることが懸念されています。テレビではDVの率も増えているという報道もされています。そこで、私のストレス解消法として最近行っている適度な運動に関してお話しします。
我が家の自宅待機中の家族との運動・リフレッシュ法の一つは「卓球」です。卓球といっても家に卓球台があるわけではないので、食卓を利用したまさにテーブルテニスです。ネットはストレッチポールなどの家にあるものを使って、工夫しています。ティッシュの箱などを障害物的に並べてネットにしても面白いです。
熱中すると足音が響いてマンションの下の住民に迷惑がかかるので、椅子に座ったまま卓球をしています。30分もすると、比較的よい運動になりますし、日頃スマートフォンやPC、テレビなど画面と向き合う時間がどうしても長くなる中、卓球の球を追いかけることで目のリラックスにも有効です。
ただし、激しすぎる運動は、かえって免疫力を落とすというデータもあるようです(もっとも今は激しすぎる運動をするのは難しいですが…)。口や鼻などからウィルスが侵入するのを防ぐとされている口腔内のIgAという種類の抗体を測定したところ、激しい運動を続けている1週間ほどでこのIgAが低下するという調査もNHKで紹介されています。
また激しい運動の後にはウィルスやがんに対する免疫を担うNK細胞の数も一時的に減少し、実際に上気道感染が増えるというデータもあるようです。過ぎたるは及ばざるがごとし。なにごとも適度がよいということだと思います。適度な運動は生活習慣病の改善に有効であることは周知の事実ですが、前述のNK細胞やIgAのほかリンパ球などの免疫系の細胞にも改善が見られることが知られています。
また、適度な運動は感染症だけでなく、大腸がんのリスクを確実に減らすことも示されています。これは世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)からの報告が先行しましたが、日本人でも当てはまることが2012年に国立がん研究センターから報告されています。
適度な運動といえば散歩です。最近、私はスマートウォッチを購入しました。最初の購入目的はスマートフォンに届いたメッセージや電話に気づきやすいようにということだったのですが、購入したスマートウォッチには睡眠や運動をモニターする機能がついていました。
運動に関しては、心拍数や歩数をモニターすることで数種類の運動をモニターできるのですが、もっぱら使用しているのは万歩計としての機能です。(睡眠モニターも購入1週間ほど使用しましたが、比較的良好な睡眠がとれていることがわかったので最近は使用していません。)近くのバス停までは歩いて2・3分ですが、 “最寄り”駅は片道15分ほどかかります。この駅まで歩いて通勤すると、1日の歩数は10,000歩前後になります。
このスマートウォッチは1日の歩数が5,000歩、10,000歩、15,000歩となると通知が来て、画面上で褒めてくれます。なによりも数値として成果が見えてフィードバックがかかるのがよい点ですね。Social distanceを保ちながら散歩ができる環境の方は、スマートウォッチを使った散歩も適度な運動・免疫力アップ・ストレス解消にはよいかもしれません。
執筆者
プロフィール
畑 啓介 (はた けいすけ)
日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック院長
東京大学医学部 非常勤講師
【経歴】
1996年 東京大学医学部卒業
2005年 東京大学医学部博士課程修了
内閣府宮内庁 侍従職元侍医
東京大学医学部附属病院腫瘍外科・がんプロフェッショナル養成プラン元特任講師
日本外科学会 外科専門医
日本大腸肛門病学会 大腸肛門病専門医・指導医
日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医・関東支部評議員
日本消化管学会 胃腸科専門医
日本人間ドック学会 認定医
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