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コラム

2020.08.18
健康 外来診療

思わぬ病気が潜んでいることも…下痢の原因を確かめましょう

ときどきお腹が痛くなることがあっても、そのうち治るからとそのままにしていませんか?そのお腹の痛み、実は病気のサインかも知れません。ご自分の症状と照らし合わせ、下痢の種類と原因を確認してみましょう。

下痢の種類をチェックしてみましょう

下痢とは頻繁に便意をもよおし排便回数が増えるだけでなく、便の水分量が多くなり軟便や水様便になることです。発生した原因などから浸透圧性下痢、分泌性下痢、蠕動運動性下痢、滲出性下痢などに分類されます。

【下痢の種類】
①浸透圧性下痢
食べた物の浸透圧が高いと腸から十分水分を吸収できずに起こる下痢。 食べ過ぎやアルコール摂取、乳糖不耐症などが該当します。
②分泌性下痢
腸からの水分の分泌量が増える下痢。 細菌やウィルス感染などの影響で起こります。
③滲出性(しんしゅつせい)下痢
腸の炎症が原因で、細胞内の液体などが滲み出て起こる下痢。 クローン病や潰瘍性大腸炎、最近知られてきているmicroscopic colitisなどが該当します。
④蠕動(ぜんどう)運動性下痢
腸は食べた物を口側から肛門側に移動させるために蠕動運動を繰り返しています。その蠕動運動が活発すぎると、食べた物が短時間で腸を通過してしまい、水分吸収が不十分になって下痢を起こします。 過敏性腸症候群やバセドー病などが該当します。

過敏性腸症候群とは?

下痢の中でも特に有病率の高いのが過敏性腸症候群です。腸に何も異常がないのに、腹痛や便通異常を繰り返し、20-40歳代のやや女性に多い疾患です。便通異常は便秘型、下痢型、混合型、分類不能型で、症状の頻度が最近3か月の中の1週間につき少なくとも1日以上腹痛や排便異常を自覚し、排便によって症状が改善する場合この疾患の可能性が高いです。

この病気の原因は、まだはっきりとわかっていませんが、ストレスや消化管の運動異常、知覚過敏などが関係していると考えられており、また、感染性腸炎にかかった後に過敏性腸症候群になりやすいことも知られています。また近年は過敏性腸症候群で見られる腸や脳の機能異常を起こす物質を見つける研究、遺伝子の研究や機能的MRI検査などを用いた脳機能画像の研究も行われています。

診断のためには、大腸癌やクローン病、潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患がないか調べるために大腸内視鏡検査を行い、大腸に器質的疾患がないことが確認され、前述のような腹痛と便通異常があった場合に診断できます。 治療は複数ありますが、この病気はストレスが誘因となっていることが多いため、まずは生活習慣の改善やストレス解消が重要です。薬物治療は鎮痛剤、整腸剤、消化管運動改善薬、精神安定剤、漢方薬などが用いられます。このほかにも心理療法や運動療法も有効といわれています。

下痢症状が続く場合には医療機関に相談を!

下痢はどのような原因で起こっているかを見極めることが重要で、問診でもある程度ふりわけることもできますが、大腸癌によって引き起こされるものもありますので、下痢症状が続く場合には一度医療機関への相談や大腸内視鏡検査をおすすめします。

「日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック」では、消化器内科を開設しています。ご不安な方はいつでもお問い合わせください。

 

執筆者

藤田 美貴子
日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック 消化器内科医師

【認定資格】
日本内科学会 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本消化管学会 胃腸科専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医

 

<参考文献> 日本消化器病学会 機能性消化管疾患診療ガイドライン2020-過敏性腸症候群(IBS)

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