コラム
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2020.08.25
健康 外来診療
医師に聞く!「コロナうつ」にまつわる6つの疑問
コロナ禍で在宅勤務が続いている企業も多く、これがいつまで続くのだろう…と、不安やストレスを感じている人も多いのではないでしょうか。新聞やテレビでも「コロナ疲れ」「コロナストレス」「コロナうつ」という言葉が多く見受けられます。そこで今回は、「コロナうつと普通のうつはどう違う?」「コロナうつにならないための対策はどうしたら?」など「コロナうつ」にまつわる疑問についてお伝えします。
①「コロナうつ」と「抑うつ」「うつ病」の違いって?
「うつ」は、いやなことがあると気分が暗くなるような、誰にでも起きる軽いものから、「うつ病」として投薬を要するものまで、幅があります。人間の生体は、ストレスに対して抵抗力があって、あるところまではストレス・負担がとれれば、自分で元にもどれます。でも、ストレス・負担が、ある限界を超えると自分で元にもどれなくなってしまいます。これは、捻挫でも、脳の神経への負担で起きる「うつ」でも同じです。「コロナうつ」は、「うつ病」ほど重くはなく、「抑うつ」の一種で、「コロナによる行動制限、心理的負担に原因があるもの」です。
②「コロナうつ」の大きな特徴や症状ってどんなもの?
「コロナうつ」は、「コロナによる行動制限、心理的負担」で起きます。「コロナ」は、「ワクチンがまだ開発されていない感染症」です。治療方法も、最近、少し整理されていますが、まだ、十分に開発されているとはいえません。「どう対処すればよいのか 、よく分からない」という感染症がストレスの原因であることが、「コロナうつ」の大きな特徴です。
③「コロナうつ」かもと思った時の簡易的なチェック方法はありますか?
「コロナうつ」は、現在、正式な医学用語として定義されているわけではありません。しかし「どう対処すればよいのか、 よく分からない」感染症による、行動制限、心理的負担のために、生活上、過度な影響がみられれば「コロナうつ」と考えてよいでしょう。過度な影響としては、「コロナニュースのことばかり気になってしまう」「周囲に人がいない戸外でも、マスクをしていないと不安になる」「一切外出しなくなった」などがあげられるでしょう。
④だれにでもなりうる「コロナうつ」。医療機関へ行くべきか、どう判断したら?
生活上のストレスとして、「コロナ」のほかに、「職場や家庭でのストレス」「経済的な不安」が加わる場合があります。こういったストレスが重なり、「気分がずっと塞いでしまう」「趣味を楽しめなくなった」「不眠が続く」という状態になったら、一度、ご相談ください。
⑤「コロナうつ」にならないために職場でできる、おすすめの方法は?
まず、行動制限については、「三密を避けよう」といった、「◯◯はいけない」という指示だけでなく、「◯◯すれば、安全を確保できる」といった、「何々する」という指示を明確にしてあげてください。こういった情報は、政府も一部出しているようです――「何々はいけない」という指示だけでは、どう行動したらよいか分からなくなってしまいます。在宅勤務より出社勤務が優れている点の一つに、「分からないことを人に聞ける」「打ち合わせや調整がやりやすい」ことが、あげられます。職場では、これまで以上に、上司や同僚とよいコミュニケーションをとって、出社時に在宅勤務の不十分な点を補えるようにしましょう。
⑥「コロナうつ」にならないために在宅勤務でできる、おすすめの方法は?
在宅勤務が優れているのは、「通勤の負担がない」「疲れたときに、周りの人に気兼ねせずに休養をとりやすい」といった点です。ただ、「通勤に伴う運動量が減る」「作業をするときの、メリハリがつきにくくなる」「ほかの人との話し合いが少ない」「仕事の能率が上がりにくい」など、マイナスな点もあるようです。「作業をいつ始めていつ終えるのか」という時間管理、仕事とプライベートの使い分けをきちんと行ってください。また、通勤での運動量が減る分、散歩やジョギングなどの時間や、友人など他の人との会話の時間を確保し、心理的孤立に陥らないことが大切です。
「コロナうつ」は、コロナによる行動制限や心理的負担によって生じます。感染のリスクが低い形で、楽しい行動、気晴らしをすることが必要です。「2メートル以内に人がいない状況で運動する、スポーツ観戦をする」「オンラインで趣味を楽しむ」「感染予防に配慮しているお店で食事を楽しむ」などです。クラスターの発生が伝えられていますが、寮や施設など、対人距離が近く密接な接触がほとんどです。対人的な距離をとって、感染に気を付けた状況でのクラスター発生は、報道されていません。在宅勤務のメリハリと同じように、コロナ対策もメリハリをつけて、「気を付けることは気を付けて、楽しむことは楽しむ」という生活を送ってください。特に運動不足になりがちですから、周りの人と距離がとれる状況で運動する時間を確保してください。
いかがでしたか? 「コロナ疲れ」や「コロナストレス」によって、いつもの自分と違うなと感じたら、医療機関へ相談するのもひとつの手です。「日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック」では心療内科・精神科を開設しています。ご不安な方は一度クリニックまでお問い合わせください。
執筆者
秋山 剛
日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック 心療内科・精神科 非常勤医師
東京大学医学部医学科 卒業。NTT東日本関東病院品質保証室室長、東京大学医学部附属病院非常勤講師、環太平洋精神科医会議 理事・事務局長、集団認知行動療法研究会代表世話人、東京英語いのちの電話名誉理事長・監事、こころのバリアフリー研究会理事長、国際病院認証支援機構副理事長。専門分野は精神医学における国際交流、産業精神医学、多文化精神医学、集団認知行動療法。
コロナ禍で在宅勤務が続いている企業も多く、これがいつまで続くのだろう…と、不安やストレスを感じている人も多いのではないでしょうか。新聞やテレビでも「コロナ疲れ」「コロナストレス」「コロナうつ」という言葉が多く見受けられます。そこで今回は、「コロナうつと普通のうつはどう違う?」「コロナうつにならないための対策はどうしたら?」など「コロナうつ」にまつわる疑問についてお伝えします。
①「コロナうつ」と「抑うつ」「うつ病」の違いって?
「うつ」は、いやなことがあると気分が暗くなるような、誰にでも起きる軽いものから、「うつ病」として投薬を要するものまで、幅があります。人間の生体は、ストレスに対して抵抗力があって、あるところまではストレス・負担がとれれば、自分で元にもどれます。でも、ストレス・負担が、ある限界を超えると自分で元にもどれなくなってしまいます。これは、捻挫でも、脳の神経への負担で起きる「うつ」でも同じです。「コロナうつ」は、「うつ病」ほど重くはなく、「抑うつ」の一種で、「コロナによる行動制限、心理的負担に原因があるもの」です。
②「コロナうつ」の大きな特徴や症状ってどんなもの?
「コロナうつ」は、「コロナによる行動制限、心理的負担」で起きます。「コロナ」は、「ワクチンがまだ開発されていない感染症」です。治療方法も、最近、少し整理されていますが、まだ、十分に開発されているとはいえません。「どう対処すればよいのか 、よく分からない」という感染症がストレスの原因であることが、「コロナうつ」の大きな特徴です。
③「コロナうつ」かもと思った時の簡易的なチェック方法はありますか?
「コロナうつ」は、現在、正式な医学用語として定義されているわけではありません。しかし「どう対処すればよいのか、 よく分からない」感染症による、行動制限、心理的負担のために、生活上、過度な影響がみられれば「コロナうつ」と考えてよいでしょう。過度な影響としては、「コロナニュースのことばかり気になってしまう」「周囲に人がいない戸外でも、マスクをしていないと不安になる」「一切外出しなくなった」などがあげられるでしょう。
④だれにでもなりうる「コロナうつ」。医療機関へ行くべきか、どう判断したら?
生活上のストレスとして、「コロナ」のほかに、「職場や家庭でのストレス」「経済的な不安」が加わる場合があります。こういったストレスが重なり、「気分がずっと塞いでしまう」「趣味を楽しめなくなった」「不眠が続く」という状態になったら、一度、ご相談ください。
⑤「コロナうつ」にならないために職場でできる、おすすめの方法は?
まず、行動制限については、「三密を避けよう」といった、「◯◯はいけない」という指示だけでなく、「◯◯すれば、安全を確保できる」といった、「何々する」という指示を明確にしてあげてください。こういった情報は、政府も一部出しているようです――「何々はいけない」という指示だけでは、どう行動したらよいか分からなくなってしまいます。在宅勤務より出社勤務が優れている点の一つに、「分からないことを人に聞ける」「打ち合わせや調整がやりやすい」ことが、あげられます。職場では、これまで以上に、上司や同僚とよいコミュニケーションをとって、出社時に在宅勤務の不十分な点を補えるようにしましょう。
⑥「コロナうつ」にならないために在宅勤務でできる、おすすめの方法は?
在宅勤務が優れているのは、「通勤の負担がない」「疲れたときに、周りの人に気兼ねせずに休養をとりやすい」といった点です。ただ、「通勤に伴う運動量が減る」「作業をするときの、メリハリがつきにくくなる」「ほかの人との話し合いが少ない」「仕事の能率が上がりにくい」など、マイナスな点もあるようです。「作業をいつ始めていつ終えるのか」という時間管理、仕事とプライベートの使い分けをきちんと行ってください。また、通勤での運動量が減る分、散歩やジョギングなどの時間や、友人など他の人との会話の時間を確保し、心理的孤立に陥らないことが大切です。
「コロナうつ」は、コロナによる行動制限や心理的負担によって生じます。感染のリスクが低い形で、楽しい行動、気晴らしをすることが必要です。「2メートル以内に人がいない状況で運動する、スポーツ観戦をする」「オンラインで趣味を楽しむ」「感染予防に配慮しているお店で食事を楽しむ」などです。クラスターの発生が伝えられていますが、寮や施設など、対人距離が近く密接な接触がほとんどです。対人的な距離をとって、感染に気を付けた状況でのクラスター発生は、報道されていません。在宅勤務のメリハリと同じように、コロナ対策もメリハリをつけて、「気を付けることは気を付けて、楽しむことは楽しむ」という生活を送ってください。特に運動不足になりがちですから、周りの人と距離がとれる状況で運動する時間を確保してください。
いかがでしたか? 「コロナ疲れ」や「コロナストレス」によって、いつもの自分と違うなと感じたら、医療機関へ相談するのもひとつの手です。「日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック」では心療内科・精神科を開設しています。ご不安な方は一度クリニックまでお問い合わせください。
執筆者
秋山 剛
日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック 心療内科・精神科 非常勤医師
東京大学医学部医学科 卒業。NTT東日本関東病院品質保証室室長、東京大学医学部附属病院非常勤講師、環太平洋精神科医会議 理事・事務局長、集団認知行動療法研究会代表世話人、東京英語いのちの電話名誉理事長・監事、こころのバリアフリー研究会理事長、国際病院認証支援機構副理事長。専門分野は精神医学における国際交流、産業精神医学、多文化精神医学、集団認知行動療法。
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